腎臓病の中でもはじめは自覚症状がなく放置すると徐々に腎臓の働きが弱って尿毒症を呈する腎臓病を『慢性腎臓病』といいます。
簡単な検査で見つけるには、尿検査と血液検査、超音波検査(エコー)を行います。
尿にタンパクが出ているか、あるいは血液が混じっているかを調べます。
血液検査では、推算糸球体濾過量(腎臓が血液から老廃物を取り除く能力)を調べ、この値が低下していれば『慢性腎臓病』を疑います。
超音波検査では腎臓の形、大きさをチェックし、合わせて腎臓結石や腫瘍の有無を検査します。
『慢性腎臓病』の代表的な病気は慢性腎炎です。
腎臓の精密検査は、腎臓の組織の一部を細い針で採取し、顕微鏡で検査する腎生検です。
糖尿病、高血圧、肥満、高脂血症、痛風などの生活習慣病が原因の場合は、必ずしも腎生検は必要ありません。
治療は慢性腎炎では腎生検の結果で治療薬を決めます。
糖尿病、高血圧などの生活習慣病が原因の場合は、これらの病気をきちんと治療、管理することが慢性腎臓病を進行させないために重要です。
糖尿病の患者さんで尿にタンパクが出ている場合は、血糖の管理をきちんとする必要があります。
あわせて血圧、高脂血症、肥満、尿酸、の管理が大切です。
慢性腎臓病の患者さんは脳卒中や心臓病を併発しやすく、腎臓病が悪化すると将来、尿毒症のため透析治療や腎移植が必要になります。
生活習慣病で治療中の方は腎臓病に関係した自覚症状はなくても、定期的に尿の検査と血液検査を受けて下さい。
高齢になると生活習慣病がなくても腎臓の働きは年相応に低下します。
下痢、発熱による脱水や薬の副作用で腎臓の働きが低下する場合もありますので注意が必要です。
大戸診療所 所長 佐藤博司