高齢化にともない、大動脈瘤をもつ患者さんが増加しています。
大動脈は、心臓から始まり、全身に血液を送り出す動脈の本管で、腹部までの太い血管をいいます。
この血管の壁が高齢にともなう動脈硬化、高血圧、喫煙などによりもろくなり、血管が瘤(こぶ)のように膨れてきます。
大動脈の直径は2.5cm以下ですが、これが5cm以上になると大動脈が破裂しやすくなります。
自覚症状は、動脈の壁に亀裂がはいったり、瘤が破裂するまで症状がありません。
大動脈解離(動脈の壁にひびが入る)や動脈瘤の破裂がおこると、強い胸痛、背部痛、腹痛、腰痛をしめし、命にかかわる状態になるため、専門病院での緊急治療を要します。
このような状態になる前に、動脈瘤の有無を知っておくことは破れる前の治療に役立ちます。
胸部大動脈瘤は胸のレントゲン検査で、腹部は超音波検査(エコー)で大まかに調べることができます。
高血圧の方や、タバコを吸う方は年に一度は検査しておくことをお勧めします。
大戸診療所 所長 佐藤博司