この冬はノロウイルスによるウイルス性胃腸炎の大流行の兆しが出ています。
成人の嘔吐下痢症の5、6割は 『ノロウイルス』 が原因で、カキなどの魚介類で十分に加熱しない食品を感染源として冬に多発します。
乳幼児の白色便の下痢を特徴とする白色便性下痢症では 『ロタウイルス』 が原因です。
成人での嘔吐下痢症では、下痢、腹痛、嘔気・嘔吐、発熱などが比較的共通に認められる症状で、普通2、3日で改善します。
乳幼児、高齢者では脱水症状が強いと重症になるので、点滴治療が必要な場合があります。
自宅で水分補給が可能なら、大抵は重症になることはなく自然に回復します。
ノロウイルスによる胃腸炎での注意点は、感染力が非常に強いため、家族内での伝染、学校、施設入所者間での流行が起きやすいことです。
感染者の吐物や下痢便、それらが付着した衣類などからウイルスが伝播するので、これらの取り扱いには十分配慮する必要があります。
感染拡大の予防には、手洗いが重要ですが、乳幼児や高齢者では手洗いを励行するのが困難な場合が多いので、家族、介護者、介護職員、施設職員がウイルスの伝播者にならないよう注意が必要です。
予防接種に関しては、ノロウイルスワクチンは開発されていません。
ロタウイルスワクチンは日本ではまだ使用されていません。
大戸診療所 所長 佐藤博司
診療所より--------------------------------------------------------------------------------------
2011年7月にロタウイルスワクチン(医薬品名:ロタリックス)が日本で承認され使用されております。
2011年10月掲載分に詳しく掲載されています。そちらもご覧になって下さい。
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