2012年2月14日
「医者は現場でどう考えるか」を読んで
この本は医師が診断や治療の誤りを起こすのはどのような状況かを医師のインタビューと医師の思考行動パターンの研究から一般向けに書かれたものです。
医療現場では不確実性の中で診断や治療の決断をしなければなりません。
したがって誤りはある頻度で起こります。それを最小限にするためには医師自身の努力だけではなく、医師の労働環境への配慮や患者からの適切な問いかけが重要になります。
特に救急室の多忙で、時間的制約のある場面では
「私の病気は、最悪の場合は何ですか」
「症状が起きているこの患部の周りには他にどんな臓器があるのですか」
の質問は医師の注意力を喚起し診断ミスを防ぐ助けになると指摘しています。
この本に取り上げられているエピソードと似たようなことは私自身だけでなくある年数医師をやっている者には思い当ります。
著者は医師の思考の向上を助けてくれるパートナーとして患者、その家族、その友人を挙げています。
そして医師が心を開けば、自分の思考の範囲と限界をより明確に認識し、患者の身体的問題及びその心が求めているものを理解できるようになると述べています。
医師 佐藤博司
ジェローム.グループマン著、美沢惠子訳、発行所石風社、2940円
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