閉経後女性では2人に1人が脂質異常を示すといわれています。
以前は閉経後女性の高脂血症の治療目標をどこに置き、薬物治療をどのようにすべきか意見が分かれていました。
いろんな面からの研究で動脈硬化が原因の脳梗塞や心筋梗塞を予防するために、55歳以上の女性では食事運動療法で経過を見てもLDLコレステロール値(悪玉コレステロール)が140㎎/dl以上の場合、薬物治療が推奨されています。
高血圧、糖尿病、家族歴に冠動脈疾患(心筋梗塞など)を認める場合は更に120㎎/dl以下を目標値にします。
動脈硬化の程度を調べるには、「脈派伝播速度検査」や「頸動脈超音波検査」を参考にすることもあります。
女性では慢性甲状腺炎による甲状腺機能低下症が隠されている場合があり、これによる高脂血症を示すことがあります。
甲状腺機能低下症の典型的な自覚症状がなくとも、一度甲状腺ホルモン検査をしておくと良いでしょう。
大戸診療所 所長 佐藤博司